この歴史的名画を鑑賞するにあたって混雑は絶対に避けたいと思い、土日ではなく平日の金曜日の午前中(11時30分)にしました。もう少し早い時間だと電車が混んでいるし、スタート時間はなかなか難しいです。
<混雑状況は>
どの作品の前にも数人が鑑賞しているような混雑具合です。美術館入り口や途中にある解説の前はだいたい15〜20人ほどいます。人口密度はちょっと混み始めた電車の中くらいでしょうか。混雑具合は曜日や時間帯で大きく変わってきそうです。
<チケットは事前に購入しよう>
当日に美術館で購入すると確実に数分は待たされますので、できれば事前に購入された方が良いです。お近くの金券ショップに行けば200円くらい安く手に入ると思います。
<ムンクの叫びの前の混雑状況>
みなさんこの絵を目的に来ていますので、絵の前は常に人集りです。絵の前はロープで仕切られていて、前列は少しずつ動きながらの鑑賞、ロープから後ろは立ち止まっての鑑賞が出来ます。前列に並ぶと動きながらの鑑賞ですので、立ち止まると係員に「少しずつお進みください」と言われます。
<ロープの後列がオススメ鑑賞ポイント>
ほとんどの方が近くで鑑賞したいと思うのか、前列の動きながらの鑑賞をします。メリットは近くで見れることなのですが、動きながらですので30秒ぐらいしか見ることができません。なのでオススメはロープ後列の立ち止まっての鑑賞です。絵の前は常に人がいるように思われますが、混雑の波があるのでしばらく粘ってみてください。前の方で鑑賞していた人が「もういいや」と戻ってきた時に入れ替わりで前に進んでいきましょう。ほとんどの人は意外と長くは絵を見ていないので前にスペースが空いてくると思います。
それでもなかなか近くで見れない場合は、絵画の左右から近づいてみてください。人は正面から見たがるので左右は空いていることが多いです。絵に対してのサイドから攻めてみるのもいい作戦だと思います。
<超オススメ絵画一点鑑賞法>
ほとんどの方が美術館入り口から一つ一つ絵画を鑑賞していくスタイルだと思います。ある海外の調査によると一つの作品の鑑賞時間は平均で10秒だそうです。このことから美術館の来館者の多くはそれほどじっくりと絵を見ていないと言えそうです。ということは、よほど記憶力が良い人以外は、絵画の内容をほとんど覚えていないことになります。
認知心理学者のアビゲイル・ハウゼンという方も美術館のギャラリーにどれだけ作品の内容を覚えているか調査しました。調査の結果、ギャラリーは作品を見た直後ですら内容をほとんど覚えていなかったという驚きの事実が判明しました。(『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館にいくのか?』より)
そこで僕がオススメしたいのが絵画一点鑑賞法です。これは目玉となる作品一つをじっくり鑑賞する方法です。目玉以外の作品は一切見ません。集中力MAXで一点の作品と向き合います。ムンク展で言えば「叫び」以外は一切見ないということです。僕は今日、実際「叫び」以外はほとんど見ませんでした。ホントに。
この鑑賞法を実践すると数日経っても絵画のイメージ・印象・感想が脳裏に残っています。美術館に行ってもすぐ内容を忘れてしまう方は一度実践されてみてはいかがでしょうか。
<叫びの感想>
作者のムンクは精神疾患を患っていたと言われ、実際に幻聴や幻覚に悩まされていたということです。その中で自分自身の様々な内的な問題と向き合いながらこの「叫び」が生まれました。
僕は実際に生でこの「叫び」を見たときに、ムンク自身の内面の制御が難しいモノを、驚異的な精神力と集中力で抑え、作品にぶつけたという感想を持ちました。ギリギリの中で描き切ったこの魂がダイレクトに伝わってくるのは、生鑑賞ならではだと思います。