以前に国の財源は税金ではないとお伝えしました。
もう一度説明すると、日本やアメリカなど通貨発行権がある国は、必要とあれば通貨を生み出せるので税金で財源を集める必要がないのです。だって自ら生み出せるお金を集める必要がないじゃないですか。自分の敷地内に豊富な水源があるのに、「みんな水をもってこい!」という人がいたら、この人アホだなと思うでしょ。だって水がじゃんじゃん湧き出ているのに、他の人のものを持ってこさせる意味が全くありませんからね。
でもユーロ圏の場合は違います。ユーロ圏の国々は自国の外に中央銀行があるため、税金でなんとかやっていく仕組みになっています(通貨発行権を手放している)。なので公務員が多く、年金支給額が早くて多額、そして闇経済で税収を得られないギリシャは財政破綻してしまいました。通貨発行権のある日本と、通貨発行権がなく通貨の使用者であるギリシャとは、立場とルールが全く違うことを理解してください。ここをごっちゃにすると、日本がデフォルトを起こすなどとトンチンカンなことを言う、愚かな経済学者のようになってしまいます。
では税金とはいったいなんなのでしょうか。
税金とはその貨幣を使わせるための強制力と考えられます。
ただお金があるだけでは、そのお金を使おうとする強制力は働きません。別に日本銀行券でなくったっていいわけですからね。
でも日本に生きている僕らは日本銀行券が必要です。それはなぜかというと、税金を払わないと逮捕されるという法律があるからです。
この強制力があるので、Tポイントカードでもビットコインでも他の電子マネーでも、日本銀行券には絶対に敵わないのです。それ以外では納税できないので、やりとりする分には便利ですけど、日本銀行券の能力を上回ることができません。
ある期間までにお金を稼いで税金を納めないと逮捕されちゃいますよ、でもちゃんと払えば自由にさせてあげますよ、というルールがあるから皆、日本銀行券を集めようという意志が生じます。
その中で様々な物やサービスが生まれることで国が発展するのです。国が求めているのは税金ではなく、お金をやり取りする中で生まれる物やサービスです。
この貨幣が流通するには税金が必要だという考えを『租税貨幣論(そぜいかへいろん)』と言います。
ただ結局最後には国にお金が戻るのですが、それが財源になっているわけではないことを理解してください。細かくいうと会計上は財源の一部となりますが、基本は通貨を発行した時に生まれるお金が財源です。